コンパニオン診断研究部門について

設置の経緯

国民皆保険制度の下,本邦では質の高い医療を国民に提供し,平均寿命を着実に延伸してきました.その反面,高齢化の進展に伴い,慢性疾患による受療,疾病の罹患率,要介護率等の高い75歳以上の高齢者が増加しており,平均寿命と健康寿命との差を短縮することが課題となっています.一方,世界の医療市場は,2001年から2010年まで年平均8.7%で成長を続け,2010年の市場規模は約520兆円に達しています.今後も我が国のみならず,世界的に需要の増大が見込まれ,医薬品,医療機器等の分野は,健康寿命の延伸に加え,経済の成長にも寄与し得る成長産業として発展が期待されています.

こうした背景を受け,厚生労働省は,2013年に成長戦略の重要な柱の1つである「健康・医療戦略」の司令塔として推進本部を設置しました.そして推進本部は,医療分野の研究開発に関する総合戦略を策定し,がんや認知症等の疾患領域等の重点化すべき「最先端の技術に係る取り組み」のひとつとしてコンパニオン診断薬開発が盛り込まれました.また米国では,2015年に"Precision Medicine Initiative(プレシジョン医療構想)"の推進が発表され,次世代のゲノム診断技術を用いた疾病の新しいサブタイプ化がはじまりつつあります.次世代がん治療個別化におけるコンパニオン診断とマルチプレックスゲノム診断への期待は今後も高まる一方,両診断法の実臨床における相互の関係や役割については,整理が必要となっています.

当部門は寄附企業3社の支援により,アカデミアとしては国内初となる「コンパニオン診断」を標榜した組織として2012年4月1日に北海道大学病院内に設置されました.設置準備を開始した2011年当時,コンパニオン診断は本邦ではまだ黎明期にありましたが,当部門はこの重要性に早くから着目し,第一期事業として,これに関わる研究・開発や臨床上の課題に先駆的に取り組んできました.そして上述のようにコンパニオン診断が,我が国の成長戦略の柱である健康・医療戦略のスコープに組み込まれてから以降は,急速に注目が高まりました.こうした状況を鑑み,寄附企業7社の支援のもと,2014年4月からスタートした第二期では,製薬分野,コンパニオン診断薬・医療機器開発分野,最新技術分野,受託事業分野,地域医療支援分野などへ研究事業の対象を拡大して分野横断型の企業参画体制を構築・産学連携し,企業や医療現場に横たわるコンパニオン診断や関連するゲノム診断領域の様々な課題解決を目指しております.

研究事業の運営体制

本研究事業は,主軸となる北海道大学病院 病理診断科/病理部および大学院医学研究科 レギュラトリーサイエンス部門,さらには臨床各科,腫瘍センター,がん遺伝子診断部,臨床研究開発センターと緊密な連携を図り,運営を進めています.

現在のスタッフ

事業課題

第二期研究事業では,第一期で顕在化した課題への取り組みとして,以下の3つのプロジェクトを設定し,精力的に取り組んでいます.とくに「コンパニオン診断薬の実用化および関連技術/事業開発の推進」プロジェクトでは,産学連携の共同研究を積極的に進め,研究の加速を図っています.

研究課題 課題の細目

コンパニオン診断薬の実用化および関連技術/事業開発の推進

(企業開発への協力活動)

  • 分子標的治療薬の開発を進める製薬企業との連携協力
  • 今後個別化医療への対応が求められるジェネリック製薬企業との連携協力
  • 診断薬および医療機器の薬事承認を目指した開発協力
  • 次世代型診断薬の共同開発
  • コンパニオン診断分野の受託事業支援

コンパニオン診断/ゲノム診断の実臨床における課題解決

(学会等の委員会や研究班等の活動)

  • 病理組織および細胞検体の作製段階(プレアナリシス段階)の標準化と検体品質管理に関する課題.
  • 測定・解析段階(アナリシス段階)の内部精度管理と外部精度評価に関する課題.
  • コンパニオン診断/ゲノム診断(測定および検出)における施設要件・基準に関する在り方研究.

北大病院における臨床研究中核機能およびの道内個別化医療の推進

(院内・学内との連携活動)

  • 医師主導治験等における中央バイオマーカー測定/検出の体制整備(臨床研究開発センターとの連携)
  • バイオマーカー研究の推進(各診療科との連携)
  • 画期的医薬品、医療機器の開発支援(臨床研究開発センターとの連携)
  • 院内コンパニオン診断およびゲノム診断(クリニカルシーケンス)実施における協力(病理部およびがん遺伝子診断部の連携)

当研究部門へのご支援

現在,当研究部門は,以下の8社からのご寄附によって支えられています.

【第一期からのご支援】
  • サクラファインテックジャパン株式会社
  • 沢井製薬株式会社
  • 株式会社モロオ
【第二期からのご支援】
  • 株式会社キアゲン
  • コニカミノルタ株式会社
  • 株式会社ジェネティックラボ
  • 大鵬薬品工業株式会社
  • 株式会社理研ジェネシス

(五十音順)

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